成田陽子:
東京生まれ。成蹊大学政経学部卒業。渡米20年余年。
ハリウッドレポート取材に駆け回る。
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初代ジェームス・ボンドのショーン・コネリー、オビワン・ケノービーのユワン・マグレガー、「300」のジェラード・バトラーと、スコットランドは勇ましく、そして、かっこ良い二枚目俳優を生み出してきた。

「僕は背も低いし、やせていて、グッドルッキングとはとても言えない。それに、ショーン・コネリーをはじめとするスコットランド出身のスターたちにはひとりも会ったことがない。もちろん、彼らに憧れていたことはあるけれど、今だに彼らの仲間入りしたなんて全然思えないね。僕のギャラが安いから雇われているのでは、なんて思ったりもする。次のブラッド・ピットなどと言うキャッチフレーズを書かれるとブラッドに悪いなーなんて恐縮してしまうよ」

スコットランドは労働者の町、グラスゴーに生まれたジェイムス・マカヴォイは独特のアクセントで照れくさそうに話す。4月21日に29歳になるとはとても思えないボーイッシュな軽さとさわやかさにあふれ、自分はスターなどどいう意識を全く持っていないために、ホテルでもパーティーでもその雰囲気の中に自然に溶け込む。注目された「ナルニア国物語/第一章:ライオンと魔女」(05)で半人半ヤギのミスター・タムナスを演じたときにはじめて会ったが、ロンドンあたりのパブで大人っぽく見せようと煙草やビールをやおら飲んでいるような半人前(役の延長だったのかも?)の新人という印象を受けた。怪物と言えども柔和で優しいミスター・トムナスに、ほのかなセクシュアリティー(何たって半人半ヤギという存在そのものがエロティックだ)を漂わせてのキラリの役作りだったが惜しいかな!死んでしまって第二弾には出てこない。

「僕が育ったトラムチャペルと言う町には医者も弁護士も大学教授も住んでなくて、牧師だけが人々のお手本として尊敬されていたから伝道の道に進むのが成功者になることと思っていたのだよ。両親が離婚して、母と祖父母のもとで厳格にしつけられた僕は、俳優になるなんて考えたこともなかった。パン屋で働いて、海軍に入ろうかなどと思っていた矢先に俳優になる気はないかとスカウトされて、「ザ・ニア・ルーム」という映画に出て、そのままロイヤル・スコティッシュ・アカデミーに推薦入学、00年に卒業してロンドンに出て、5人の人間と一匹のチワワとアパートを共にするという混雑した貧乏暮らしをはじめてね」
それから徐々に小さな役が舞い込み、「ラスト・キング・オブ・スコットランド」(06)ではイディ・アミンの主治医の役を得て注目され、07年はじめの「スターター・フォア・テン」ではクイズ番組で連勝をする優秀な貧乏大学生の主役をりりしく熱演、そしてアカデミー賞7部門でノミネートの「アトーンメント」の主役を堂々とこなし、オスカーはもれてもしっかり英国アカデミー賞では主演男優賞候補になっている。

「脚本を読んだ時、この主人公があまりに聖人のような存在で、うまく演じられるか心配だった。これまでの役の中で最も苦心したから誇りをもって僕のベストだと言える」キーラ・ナイトリーとのラブシーンはとびきりアクロバティックで印象的だったと言うと、「脚本に書いてあるとおりのラブメイキングだったけれど実はキーラは本棚の一部の突き出た棚に腰掛けているから僕が彼女全身を支えているわけではないのだよ。ビジュアルに官能的なシーンは必ずどこかに技術的な仕掛けが隠れているという良いサンプルさ。それにしてもパパラッチに追いかけられっぱなしのキーラはいざ仕事に入るとぐーんと落ち着いてすごい演技力を見せて迫ってくる。同様に「ウォンティッド」で共演したアンジェリーナ・ジョリーもあれだけつきまとわれていても一旦、セットに入ると集中力とプロ精神のカタマリとなって演技をして、僕はその度に感動し、尊敬するばかり」と、にんまり。

セットでは一人で家を借り、上流社会の人々を演じるほかの共演者たちとは一線を引いて、あまり交わらずにロウワークラスの男を現実でも励行して役作りにつとめたと言っていた。
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