ホームハリウッドインタビュー> Julianne Moore

長いストレートな栗色の髪、磁器のように美しい白い肌に薄いメークがモスグ リーンのドレスに映えて、二児のママになってますますたおやかになったジュリアン・ムーアは、よく響く声で、丁寧に質問に答えてくれる。
-ヴァージニア・ウルフの作品はお好きでしたか。
「ずっと前に『ダロウェイ夫人』を読んだことがあるけれど、ウルフは社交界に忙しいダロウェイ夫人を批判しているように書きながら、本心は憧れているのではないかと思ったりして、複雑な心理状態を感じさせる作品だなあと思ったわね。そして『ディ・アワーズ』の原作はずっと前のお誕生日にプレゼントされて面白い本だなと一気に読み、ひょんなことから原作者のマイケル・カニンガムをパーティで紹介され、その家のトイレの外で彼と夜中徹して立ち話をしてしまったほどストーリーに感動したのね。でも映画になる内容だとは全く思わなかった。それから暫くたってプロデューサーから連絡が入り、何という偶然の幸運とエキサイトしてしまったのよ。原作者に会って、そのストーリーが脚本になり、映画化が現実となって、何とこの私が選ばれたのですもの」。

-50年代の主婦という役作りについて。
「私が演じるローラはとても正直で、生きていく力を失ったことを何とか訴えようとしている。自分の生活がなくなって、最愛の夫や息子までもが遠い存在になってしまう。当時の女性で結婚していれば、まず専業主婦で独立心などハナから持っていなかったから、どういう方向に進んでいくのかが全く分からないままに、彼女は混乱のままやみくもに家を出ていく。ローラは本の中に生きていたいのね。生きていくか、死ぬかという選択を自分に課しながらも、その重要性に気がつかない程に全てを見失っている状況にある女性を演じるのは物凄く辛かった。キティー(トニー・コレット)にキスした後も、一体私は何をしたのかしら、と濃い霧の中をおぼつかない足取りで歩いている。ローラは図書館に勤めて、本の中に安心を見い出す生活を続け、男性とも女性とも関係を持たずに一生を終えたと私は考えるわね。

―同時に「ファー・ フロム・ヘブン」の主婦の役も50年代ですが、これは珍しい偶然と言えますね。
「ホントに! 最初が『ディ・アワーズ』で次の役が『ファー・フロム』で、殆ど同じ髪に服装の役を演じるというのはちょっとない偶然だわね。ウェストをしぼってスカートの下にペチコートをはくスタイルは、まるでお人形になったみたいで、鏡の前でくるくる回ったりして楽しんだりして。昔のメロドラマの女王だったラナ・ ターナーとか、ロマンチック・コメディーの女王だったドリス・デイを頭に置いて、家の中での動き方とか、女らしさを強調する仕種などを研究したのよ。おかしなことに妊娠している役の『ディ・アワーズ』の時は、私は妊娠していなかったのに『ファー・フロム』の撮影の直前に妊娠が分かって衣装係の人に余計な心配をかけてしまった。50年代の女性って一種の伝統的な最後のアメリカの古き良き時代を反映している、つまりクラシックな女性だったのだなあと感じたわね」。

―後になって老母メークで登場しますね。
「あれは苦労したメークだったわ。17時間余りの労作で、ニコールの鼻を手掛けたベテラン・ メーキャップ・アーティストのコナー・オサリバンがほどこしたの。まず最初の3日間はテストに次ぐテストで、私は雑誌を持ち込んで7時間座ったまま我慢して、いざ鏡を見ると知らないお婆が写っている、という異常な体験を持った」。

―そこでメリル・ストリープと対面する場面になりますが、彼女の印象を。
「メリルは私達の大先輩にして天才的な才能の持ち主なのに、ちっとも意識せずに、毎日母親仕事を楽しそうにこなして、セットでも気の付く保護者のように人を助けて世話をして、それは明朗で笑顔を絶やさない女性。ずーっと前にメリルと一緒にワークショップをして、相手の演技のレベルを更に上げる作用を持つ女優なのだと知っていたし、彼女の親しみやすい人となりにも触れていたので、今回はお互いに気兼ねなく演技をしたのよ。老女の私とメリルがエド・ハリス扮する私の息子のことで対面するシーンはあの撮影の中でも最も難しいシーンだったから、私は大いに準備を備えてその日に臨んだの。私のキャリアの中のハイライトともいえる場面だったと思うわ」。

―男の子と女の子とやはり違いますか。
「長男のカレブは6才で学校に行く年令、娘はまだ赤ん坊なのに、それぞれの性格がはっきり出ているのよ。男と女というより、生まれつきのパーソナリティが違うの。毎日がとても楽しいわ」。
優しいママの顔を見せた美しいジュリアンである。
Copyright (C) 2004-2005 J magazine Inc. All rights reserved.