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「コールド・マウンテン」のジュード・ロウはほとんどヒゲぼうぼうの脱走兵の姿だが、会見に現れた彼は黒のピンストライプのシャツに黒のベルベットの上着、ブロンドの髪はクルクルと巻き毛になって頭の上でスタイリッシュに踊っての、まさにゴージャスなモデルのようだった。しかしいつもジュードは寒そうで、顔をこする手は紫色になっているのは、やせているからなのだろうか。
−アメリカ南部のアクセントを学ぶのに苦労したりしませんでした? 「アメリカ人の役はもう7回目ぐらいだが、やはり正確を期するためにダイアレクト(ルビ・なまり)・コーチについて南部訛りの特訓を受けた。しかし僕の役はほとんどセリフがなくて、戦争のむごさに反応する場面がほとんどだろう。セリフが無いと演技がフラットになるか、大げさになるか、なかなか自然なバランスがつかみにくいと知ったね。内面の心情を外に出すと言う役作りは猛烈に難しかったが、僕にとっては回心の役だと誇りを持って言いたい」。 −このイアンという男は、アダ(ニコール・キッドマン)に会いたくて、それとも戦争がいやでたまらなくなって脱走したのですか。 「ミンゲラ監督と細かいところまでとことん話し合ったのだが、イアンの動機はその両方だろうね。どちらかがなかったら脱走しなかったと思うもの」。 −最初のシーンでは金髪で若々しいイアンですが、あとはヒゲ面に泥だらけの顔という汚い格好ですが、自分ではどちらが演じていて居心地良いですか。 「実はヒゲを生やしたのは生まれて初めてであれ程長く生えるとは思わなかった。何となく原始人に戻ったみたいな気分で面白かったし、僕はやれ、美男だの、二枚目だのと言われるのがイヤだから、汚い姿の時の方が俳優としてやりがいがある気がしたね」。 −ルーマニアのロケはいかがでしたか。 「ルーマニアの田舎はまだオオカミ、クマ、コウモリそれから恐ろしい野犬がうようよしていて、ドラキュラが今も住んでいるような城もそびえて、夜になると実に不気味でね。クマのステーキを食べたりもしたが、なんと言ってもローカルの酒で、ツイーカという強いやつがあってね、寒さをしのぐためにも、ぐいぐい飲んで苦しかったな。地元の人は親身になって手伝ってくれるし、自然は広くて美しく、のびのびとした暮らしを味わったね」。 −そこにお子さんも連れて行ったりしたのですか。 「子供たちには最高の場所だったもの。ロケには必ず子供たちを連れて行くことにしている。それが僕の役作りにのめり込みすぎた時のクッションの役目を果たしてくれるんだ。ロンドンの暮らしに慣れている子供たちはルーマニアの何もない環境に最初はブーブーと文句を言っていたが、次第に色々な発見をしてはちきれそうに健康な顔色でとびまわって遊んでいたね」。 72年12月24日ロンドン生まれ、16歳の時に高校を中退してTVドラマに出るようになったロウは31歳にして、もう俳優歴はかなり長い。97年の「オスカー・ワイルド」の主人公をいたぶる美少年の貴族、「ゼタカ」ではイーサン・ホークをいたぶる車椅子のエリート青年、「真夜中のサバナ」では主人公のジョン・キューザックを悩ます美しいゲイの男、とまずは凄絶な美貌を活かしてハリウッドに現れ、99年の「リプリー」での美しく、傲慢なリッチ・ボーイを好演してアカデミー賞助演賞にノミネート、それからは意識的にか汚れた外見の役を選ぶようになったのは、ニコール・キッドマンの付け鼻役、今年のオスカーを得たシャリーズ・セロンの醜女大変身の「モンスター」の役に通ずる大演技役は美しい外見ではリアルに見えないセオリーをなぞっているのかもしれない。 −ノン・ストップで映画に出ているようですね。 「僕にとって理想の監督の作品に出演できるチャンスが次々と来て、とても断るなんて考えられないもの。ミンゲラ監督はずーっと尊敬していたし、スコセッシの『アヴィエイター』にもエロール・フリンの役で小さいものだけど出してもらい、『アルフィー』ではその昔、マイケル・ケインが演じた主人公を演じて、マイケルに激励されたり『ワールド・オブ・トマロウ』は面白いSF冒険ものだし『アイ・ラヴ・ハッカビーズ』は大好きなデビッド・ラッセル監督のコメディーだし、どれも挑戦のしがいのある役ばかりなのだから」。 −舞台に出る予定は? 「僕は舞台劇が大好きだ。出来れば映画のあとにステージ、そして映画と出ていたいのだがスケジュールを立てるのは難しい。早くステージの独特の匂いをかぎたいね」。 「アルフィー」で共演して仲良くなったという恋人、シエナ・ローズ・ミラーのことを聞くとノーコメントと答えてきた。超多忙なジュードであった。 |
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