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97年の「ブギ‐・ナイツ」で主人公のポルノ男優に恋して、そばに来ると口をだらんと開けてヨダレを垂らさんばかりの撮影助手を大熱演して注目された金髪、ベビーフェイス、太目でへなちょこ男のフィリップ・セイモア・ホフマンがこの秋、トルーマン・カポーテを演じて、その入魂の役作りはもう既にアカデミー主男賞候補確定、受賞の可能性も大!の大出世を遂げてくれた。

「多くの人が僕を太っているとまず形容する。次はのろま、とうもろこし色の髪と来る。誰もかっこ良い形容詞を使ってくれない。キュートな、とでも言ってくれても良さそうなのに誰も言ってくれない」 とはじめて会見した時、劇的苦情コメントを訴えたものの、ホフマンが口にすると何となくパロディーに響いてしまうトクな(損な場面もあるのだろうが)人間性の持ち主で、健康的な大らかさにあふれていた。

92年の「セント・オブ・ウーマン」では当時無名同士のマット・デイモンとイジメ生徒を、99年の「リプリー」ではジュード・ロウの親友にして、そのデイモンに殺される金持ち息子などなど彼の役をちょっぴり紹介すれば、常に主役を食う、それでいて、いかに自分を魅力的に見せないようにと異常な努力をしているヘンな男優と思い出して頂けるだろう。

「僕は努力家で演技が大好きだ。新米が3年から4年かかる演技コースを6年かけてじっくりとよじ登る。それだけ信念が固いのだから誰にもヒケはとらないが、謙虚の美徳も心得ているんだ。一旦、演技をはじめると僕は短気で怒りっぽくなってしまう。もの凄い集中力を使って、何時間もテイクを繰り返し、監督がよしと言っても僕が完全だと思わなければもう一度と頼み続ける。この繰り返しは6階まで重いソファを引きずり上げる以上のスタミナが要るから、撮影中はゾンビ男と化してしまうんだ。そして燃え尽きてしまう。演技は生やさしいものではない。易しいと思いはじめたらもうクサってくるからね」と役者根性は激しく固いのだ。

さて話題騒然の「カポーテ」では声、体型、表情を激変して、マンハッタンの社交界のプリンスぶりから、死刑囚に口から出まかせの約束をしてコメントをむさぼり、メモなしに全ての情景から会話まで記憶してしまう異才の言動をビビッドに、とてつもなくゲイっぽく、そして憎めない時代の寵児カポーテに仕立て上げている。「生前のカポーテの貫禄やビデオを研究し、まず声から役作りに入った。

独特の歌うようなトーンに、赤ん坊に近い声をモノにするのに時間がかかった上に撮影中には、仕事が終わっても、彼の声が頭にくっついていて離れず、思わず“トルーマン、やめてくれよな!” なんて叫んでしまい、周囲の人たちを心配させたりもした。24時間、カポーテになりそうで、僕なりに懸命にフィリップを取り戻そうとしたりね」
 38歳、ニューヨーク生まれ、母親は弁護士という知的な家庭に育ったホフマンは高校の時はレスリング部で活躍したが首のケガでスポーツは断念、ここで演劇学校に通い出し、芸の道を以後まい進、映画の上でゲイの男をあまりにリアルに何度も演じたために、実生活でも? と思っている人も多いようだがまだ赤ん坊の子供がいる父親である。もっとも結婚はしていないそうだが。

「マグノリア」や「リプリー」で会った頃はかなり巨漢だったが、カポーテの役のために30ポンド近く減量し、何やら髪に白いものもちらほらして、すっかりミドルエイジの外見になっているものの、一旦、口を開くと、ていねいで素直、俳優バカの傾向もあって、非常にガキっぽい。次は「ミッション・インポシブル3」に顔を出すほか、「マクベス」にジェニファー・コネリーと共演する企画もあるそうで何とも楽しみである。
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