ホームEditor's Pick>People Interview>丹羽紗絵さん、大山聡さん
Jマガジン:今年8月に行われたスウェーデン・デュオ国際コンクールでの3位入賞、おめでとうございます。大山さんは国際コンクール初出場での快挙。今後の自信につながりましたか?

大山さん(ピアノ):「自分に力があるのかどうか」不安だったので、今回の入賞は大変自信つながりました。また、今後どのように進んでいけばいいのか、自分の中で大きく道を開けることもできました。

Jマガジン:お二人のデュオ初結成は、コンクールのわずか3ヶ月前とのこと。短期間の練習や準備中に不安や迷いはありませんでしたか?

丹羽さん(ヴァイオリン):彼とは2年前からの知り合いでしたが、それまでデュオを組む機会はありませんでした。今回大山君と組もうと決めたのは「彼となら妥協せず音楽を作ることができる」と思ったからです。演奏の細かい部分など、突き詰めて話し合えるピアニストは多くはいません。やはり遠慮や妥協が出てしまいますよね。しかし彼となら、とことん話し合うことができました。その結果、コンクールの審査委員から「二人の音、エネルギーは、見事に一つだった」との評価を頂きました。
  
      

Jマガジン:お二人とも3才で楽器を始められたとのこと。その過程や、「この楽器を続けていきたい」と進路を決めた経緯をお話しください。

大山さん:両親は僕にいろんな事を習わせてくれたのですが、他の習い事と違い、ピアノだけは止めたいという思いにはならず、鍵盤に触れることは僕にとってごく自然なことでした。しかし僕は、毎回のレッスンで、直前に慌てて練習するような生徒だったんです。それでもピアノの先生は怒ることなく、楽しんで続けられることを何よりも優先してくれました。その先生のおかげで、ピアノを続けられたと思っています。

丹羽さん:うちは私がお腹にはいっている時から、両親が「この子は音楽家に」と意気込んでいて(笑)。教育パパの父と音大卒の母のもと、ヴァイオリンとピアノを習い始めました。元々、歌うことが大好きだった私は、ピアノと違って、単旋律を演奏するヴァイオリンが自分に合っていました。プロの音楽家になるため、小四の時に楽器を選択することを迫られ、ヴァイオリンを選ぶ一大決心をしました。

Jマガジン:音楽を勉強するために渡米されたわけですが、欧州ではなく何故アメリカを選んだのですか?

大山さん:元々、音楽を勉強するために渡米したわけではありませんでした。高校の時に渡米した際、「いろんな世界をもっと知りたい、そのために英語が必要だ」と強く思ったのが、その動機です。そして渡米後に、ピアノを専攻することに決めました。大学で出会った先生に背中を押され、ロンジー音楽院に転学しました。振り返れば、素晴らしいピアノの先生、師匠に恵まれたからこそ、ここまで来ることができたと思います。

丹羽さん:私は憧れていたヴァイオリニスト(竹澤恭子、チョン・キョンファ、イツァーク・パールマン)が、みなアメリカのジュリアード音楽院で学んだと知り、自然とアメリカを選んでいましたね。最初はクリーブランド音楽院(オハイオ州)で学んでいたのですが、師事していた先生がボストンへ移転したため、ついてきました。

Jマガジン:お二人とも様々な先生に師事されているようですが、一番印象に残る先生はどなたですか?

大山さん:今回のコンクールのために、レッスンをして下さったステファン・ピカー(Stephan Picard)先生です。有名な方ですが、とても気さくでした。純粋に音楽を愛し、人間的な暖かみ、深さ、そして彼から溢れ出す生き生きとした生命力を感じました。お会いしてるだけで元気になります。「音楽家として、こういう素晴らしい生き方があるんだ」と教えていただきました。

丹羽さん:私は小澤征爾さんです。高校生の時、長野県での室内楽講習会に参加しました。私たちが小澤さんと地元の中学校に演奏しに出かけた際、そのお礼にと、中学生が合唱を私達に披露して下さいました。私は、彼らの歌に涙する小澤さんを見て、あの「世界の小澤」さんのその純粋さに感動しました。誰よりも努力する姿勢、舞台で彼が放つ至高の世界の感動は今でも忘れられません。本番前は緊張してほとんど食べられないという一面もあるんですよ。

Jマガジン:最後に今後の夢や目標をお話ください。

大山さん:初めての場所で聞いて下さるお客さんや、一緒に演奏する相手との、音楽を通してできるコミュニケーションの爽快さを経験しました。今後はもっとレベルを上げ(ドイツ留学を検討中)、より多くの人と音楽を通して対話できるようになりたいです。留学したばかりの頃、ここまでこれるとは思いませんでした。人間の持っている可能性をどこまで広げられるのか 、それを自分の人生で証明したいと思っています。

丹羽さん:昔は自分の演奏に酔いしれるというか、「自分の殻」に籠っていました。しかし素晴らしい人達との出会いや、様々な舞台での経験から、音楽を通して人に勇気や希望を与えられる素晴らしさを実感するようになりました。私の音楽で、一人でも多くの人に希望を贈れる演奏家になりたいです。演奏家になるのは大変難しい事です。努力するのはみな一緒。それから先の成長は、自身の人間性を磨く事で、奏でる音色をより深め、高めていきたいと思います。
(取材・文/中村真由美、写真/吉田真理)

丹羽 紗絵(Niwa Sae)さん
ヴァイオリニスト

3才よりヴァイオリンを始め、全日本学生音楽コンクールで2位に。小澤征爾氏が指揮するサイトウキネン室内楽のコンサートマスターを務める。2006年8月スウェーデン国際デュオコンクールにて3位入賞。現在はニューイングランド音楽院に在籍。
大山 聡Oyama So)さん
ピアニスト

3才でピアノを習い始める。高校卒業後、ボストンへ。ロンジー音楽院のコンチェルココンペティションで優勝し、ソリストとしてロンジー室内楽オーケストラと共演。丹羽紗絵さんとデュオを組み、スウェーデン国際デュオコンクールにて3位入賞。現在はボストン大学大学院修士課程に在籍。
大山さんがリサイタルとコンサートを開きます:

コンサート:11月27日

リサイタル:12月17日

Boston Universityコンサートホール
855 Commonwealth Avenue Boston, MA 02215

毎日深夜近くまでがんばる大山さんを応援しに、リサイタル、コンサートを聴きにいってみよう!